一般社団法人プロフェッショナルズ・ネットワーク

IRIEP

プロフェッショナルズ インタビュー

わが国の専門家の活躍は、
世界から求められている

一般社団法人プロフェッショナルズ・ネットワーク 名誉理事長  藤田 慶喜

世界経済は羅針盤のない環境にあって、各国はその経済運営に呻吟をしている。

毎年たくさんの会議がもたれ、国際的取り決めがなされている。しかし、これまでのところ、なかなか効果的な対策がとられていない。むしろ見つけられていないというのが実情であろう。この未曾有の経済環境が起きた理由について、たくさんの論文や発表がなされている。

科学的方法論で述べると、すべての現象には原因があり、それによる結果が存在するのであるから、その原因が正しく求められていれば、その原因を取り除けば、またそれが不可逆的現象でなければ、元に戻る筈である。しかし、残念ながら現在の世界経済はそのように単純なものではなく、経済悪化の原因と言えるものがたくさん存在し、原因同士が複雑に絡み合ってその縺れを正すのも大変になっているからである。

私は大学で理工系を学び、民間製造業に長く従事した後、国連機関に移動し、東西対立(共産主義と自由主義)、南北対立(先進国─途上国間)の中で、産業協力、技術協力、環境エネルギー協力など、思想信条歴史の異なる国や民族間で働いた。そこで強く次世代教育の必要性を意識し、帰国後学業の最終段階である大学での教育事業に参画した。大学定年後は、NGOやNPOのほか、学会、協会、専門機関で若い方々と汗をかきながら、同時に内外の大学で客員をしてきた。

これらの経験から、すべての組織には、優れた点・改善すべき点が存在していることを実感している。今は、その組織の改善すべき点を改め、優れた点を伸ばせば、企業、役所、大学、市民団体は素晴らしい組織になると信じているし、これが実現されると次世代に素晴らしい社会を提供できるものと思っている。

わが国について、現下の政治経済状況はさておき、国際社会での評価は極めて高い。多くの海外人が、いろいろな場面で接触した日本人に関して、良い評価、いい思い出、素晴らしい体験を共有したからに他ならない。国はその民族から構成されているからである。

振り返って、わが国の内部を見てみよう。年間の自殺者数は先進国では最高レベルであり、しかも働き盛りの人材を失うケースが多い。組織内で生きるのが困難になったり、自分の専門性や特技が活かされないことの不満や家族問題など原因は多岐に亘ろう。まさに人的資源の損失である。

今世紀まで人類が解決できていない問題は、より深く複雑であり、簡単に短期間で解決できる問題はないと考えている。

私は、これまで関係してきた日本マクロエンジニアリング学会では、エンジニアリングをより広く、多岐にわたる専門家同士の協力連携をもって研究や調査を行ってきた。今や内外の専門家が連携連帯をして、人類共通の課題の解決のために努力することが、これまで以上に期待される時代になってきている。しかし、各人持つ専門性を社会に活かすことは簡単ではない。それは異文化を理解しながら、相手の人格を尊重しながら進める度量、協調性、協働性、優先順位づけ能力、説明能力など、多くの能力を涵養することが必要となるからである。

特に、専門家は、それぞれ固有の技術や専門分野を持っている。それらはある意味では、分野の多様性を示している。これらが課題に対して必要レベルの統一性が確保されると発言力が増し、社会を動かす力となり得る。その観点から、EUの基本概念である「Unity in Diversity」を強く意識したい。

このようなことを考えながら、IRIEP(プロフェッショナルズ・ネットワーク)を通じて、内外の将来性のある専門家の方々と一緒に課題解決のために汗を流すことに喜びを感じる。たくさんの課題が内外に山積している。この働きが世界平和(Peace Keeping)に繋がり、わが国が過去に味わった苦い経験を次世代の方々に味合味わせないことが、現世代の責務であり、専門家のこれまで蓄積された知見を最大限に活かすことが、社会のため、世界のために有効であると考えている。

藤田 慶喜藤田 慶喜プロフィール
●麻布中高校、東京大学卒
●桜美林大学名誉教授(元副学長、総合研究機構長、経営政策学部兼国際学大学院教授)
●日本マクロエンジニアリング学会会長兼循環型社会研究会、経済工学研究会顧問
●社団法人 産業環境管理協会参与
●財団法人 省エネルギーセンター 経済産業省ODA研修生受入事業審査委員長
●国際環境NGO,FoEJ(The friends of the Earth Japan地球の友)理事
●人間環境活性化研究会常務理事
●有限責任中間法人 日本リユース機構名誉代表
●NPO法人 地球資源循環研究所理事長
●文部科学省 科学技術政策研究所専門調査員
●日本鉄鋼協会(学会)永年会員
●リトアニア国ビタウタスマグナス(Vytautas Magnus)大学客員教授
●チェコ共和国オストラバ工業大学客員教授
●チェコ共和国シレジア大学客員教授
●アフリカ産業振興協会首席アドバイザー
●元国連工業開発機関工業技術推進部長・特別方策活動部長
●元新日鉄エンジニアリング事業部部長
●室内楽Kayアンサンブル主宰
●瀬田みどりの会会長